3)「中世の死の思想を観る」
 ここでは、鎌倉の覚園寺と国宝館をとり上げます。覚園寺は北条義時の持仏堂から発展した寺ですが、最も鎌倉らしい雰囲気を残した寺といわれています。覚園寺の本堂である薬師堂は柱と柱との間が貫で貫かれていて長押ではなく、花頭窓や柱の下の礎盤の存在など、中国(宋)の影響を受けた極めて国際色豊かな禅宗様式の建物であるということができます。つまり最も鎌倉らしい建物は、最も国際色豊かな建物であるわけです。その点に中世というものの持つ奥の深さや面白さがあるのだと思います。
 そしてもう1つ、鎌倉国宝館には、鎌倉彫刻の代表的作品が寄託されていますが、地蔵尊や初江王像の真に迫った描写は、中世「十王思想」の、正に反映といえるもので、ちょっと感覚的かもしれませんが、「これぞ死ぬことと見つけたり」と言いたい素晴らしいものです。このあたりは、私が『指導と評価』1998年7月号に書きました「今こそ『死ぬことと見つけたり』では?」をご覧下さい。
fuukei.gif (19169 バイト) *「若宮大路から鶴岡八幡宮を望む」
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